「辞世の句」とは、人が死の間際に詠む漢詩・和歌・俳句などのことです。自分の人生を振り返り、この世に最後に残す言葉として、様々な教訓を私たちに与えてくれるといって良いでしょう。
古来より数えきれない辞世の句が残されてきましたが、今回は、西行の最後の言葉として、西行の辞世の句を紹介してみることにします。
西行の最後
西行は、平安時代末から鎌倉時代にかけて生きた僧侶で、多くの歌が勅撰集に選ばれるなど和歌の名手としても有名です。武士の子として生まれた西行ですが、23歳で出家した後は諸国を巡りながら多くの和歌を残し、1190年3月31日に河内国(現在の大阪府)で亡くなりました。享年は72歳前後と言われています。
そんな西行の辞世の句と言われているのが以下の句(短歌)です。
西行 辞世の句
「願はくは 花の下にて 春死なむ そのきさらぎの 望月の頃」
この歌を現代文に訳すなら、
願わくは二月の満月に梅の花が咲く下で死にたいものだ
といったところでしょうか。
西行が亡くなったのは旧暦の二月(現在の三月)ですから、望み通り梅の花を愛でながら死を迎えられたことでしょう。
死を前にした時、彼の頭の中を去来したのはなんだったのでしょう。この西行の最後の言葉である辞世の句は、皆さんの心にどう響きましたか?