広告代理店最大手の電通の女性新入社員が過労死と認定された件で、管轄の三田労働基準監督署と東京労働局が電通本社に強制調査(臨検)に入りました。
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ちなみに「臨検」という言葉を初めて耳にした方もいらっしゃると思いますが、
臨検とは?
今回の「臨検」は、労働基準監督官による事業場への立ち入り検査のことで、今回のように通告なしに突然来訪して抜き打ち検査が行われる場合もあります。労働基準監督官は「特別司法警察員」でもありますので、会社の行為が悪質だと判断した場合は、経営者などを送検することができます。
といった内容になります。今後は、今回の臨検を元に労働基準監督署・労働局が精査し、法令違反があった場合は行政指導(是正勧告)がなされることになります。
すでに亡くなった女性社員は過労死認定されていますし、電通では、1991年にも過労死(過労自殺)が起こっていますので、何も問題がないということはなく、労働時間管理等に相当な落ち度があったものとして行政指導されるものと思われます。今後の焦点はその先で、今回の一連の“事件”に至る経緯が悪質だとみなされた場合に行われる「送検」がなされるかどうかにあるような気がします。
人一人の命、過去も辿れば二人の命が実際に過労死としてなくなっているのですから、労働者の安全を守るべき労働基準監督署・労働局が厳しい処分で臨むのは当然なのかもしれません。
社員の健康と安全を守るのは、大企業、中小企業を問わず、雇用する企業側の義務です。特に中小企業では、今回のような“事件”を起こしてしまったら、会社自体の存続も危ういということを経営者は肝に命じたいものです。
今回の「電通の女性新入社員過労死」について、今後も注視していきたいと思います。