北朝鮮が公表したアメリカ領のグアム近海へのICBMミサイルの発射計画で、ミサイルの島根県・広島県・高知県の上空通過(実際は愛媛県の上空も通過)が予告されました。
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このICBMミサイルの発射計画を踏まえ、ミサイルに不具合が生じて軌道を外れて落下してきた時に備え、日本政府は、ICBMミサイルの軌道にあたる島根県・広島県・愛媛県・高知県に航空自衛隊の地上配備型迎撃ミサイル「パトリオット(PAC3)」を緊急配備しました。
PAC3では、高高度のロフテッド軌道を飛行するICBMミサイルを迎撃できませんので、あくまでミサイルの故障による落下してきた場合に迎撃破壊することが目的になります。
そうした中、毎日新聞が驚くような記事を報道していました。
毎日新聞:<PAC3配備>「どう対応すれば」地元から不安や疑問の声
という見出しで、PAC3が配備された島根県・広島県・愛媛県・高知県の地元住民の声を紹介した記事ですが、
軍事的な挑発に対し、日本が行動を取ることが、北朝鮮に刺激を与え、核戦争へとつながるかもしれない
政府には国民の心配をあおらず、冷静になれと言いたい
ミサイルが落ちてくることはないと思うが、もし迎撃ミサイルを撃てば破片が落ちてくる
PAC3を配備すれば、逆に北朝鮮から狙われるのではないか
といった「地元住民の声」が紹介されていました。
他国の上空をまたいで、核兵器の搭載も可能な戦略ミサイルを発射しようとする北朝鮮の姿勢ではなく、万一の事故に備える日本政府の姿勢が悪いとも取れるような書きぶりで、さすがに驚かされました。
薬事法の制限を受ける健康食品などでは「効能」を表記する手段として、お客様の声として「効能」を記載するようなグレーな「広告手法」を見かけますが、今回の毎日新聞のPAC3配備に対する報道を見ていると「地元住民の声」と健康食品などで見かけるグレーな「お客様の声」が被って見えるのは私だけでしょうか。
普通に取材をしていれば、当然、北朝鮮に対する不安や怒りの声が多数を占めると思うのですが、毎日新聞の取材では日本政府への不安と疑問の声だけが中心になるのは、なぜなのでしょう?