インバリアント分析とは
ここ数年で注目されている言葉に、インバリアント分析があります。
インバリアント分析とは、システムのいつもと違う動きを見つけるための技術です。不変関係からモデルを作って、リアルタイムのデータと比較し、関係式の崩れにより障害を検知します。
システム性能の分析に適用すれば、“しきい値”でのチェックではわからないサイレント障害も検知することが可能です。サイレント障害というのは、エラーメッセージとしては出てこないトラブルで、代表的なものが性能劣化です。
インバリアント分析では、不変関係を見ます。複数のデータを掛け合わせて、平常時に成り立つ不変関係を見つけ、それを関係式としてモデル化します。そして、モデルから出た予測値と実測値を比べて、いつもとは違っている動きを見つけるわけです。
正常時のモデルは、1回作れば終了というわけではなく、システムの稼働状況から学んだ内容をもとに更新することが可能です。モデルの関係式を活用して、メモリーやCPUなどの消費量予測もできます。
インバリアント分析によって、異常発生個所の特定が可能になると、重大な事故を防ぐことが可能となります。
CBMと呼ばれる状態基準保全により、保全の効率化が実現できるのです。状態基準保全とは、危機の状態監視を継続して行って、劣化や異常などの兆候が出てきた部分を、その都度メンテナンスする保全方法のことです。この保全方法だと、早い段階で異常を発見することができ、劣化や異常の状態に合わせて保全を行うことが可能なので、無駄なコストを削減することができます。
大量生産を行っている生産ラインでは、個々のデータを取得して品質を一定に保っていますが、個々のデータの細かい変化を捉えるためには、長い経験やノウハウが必要でした。
しかし、インバリアント分析を利用すれば、品質に悪影響を及ぼす小さな変化もリアルタイムで発見することができ、不良品が大量に発生するのを防ぐことができるようになります。
大規模なプラントでは、人によって定期的な点検が行われていますが、人による点検では、点検ミスもあります。そういった場合、インバリアント分析を活用することによって、これまでであれば発見できなかった小さな変化でも、リアルタイムで捉えることが可能になるのです。その結果、大きなトラブルが起こる前に必要な対策を立てることができ、稼働率の向上も期待できます。