電通「鬼十則」という言葉を聞いたことがありますか?
国内広告代理店最大手である電通には、4代目社長吉田秀雄氏が作った「鬼十則」という有名な“社訓”があります。早速、電通「鬼十則」の内容を見てみましょう。
「電通 鬼十則」とは?
- 仕事は自ら創るべきで、与えられるべきでない。
- 仕事とは、先手先手と働き掛けていくことで、受け身でやるものではない。
- 大きな仕事と取り組め、小さな仕事はおのれを小さくする。
- 難しい仕事を狙え、そしてこれを成し遂げるところに進歩がある。
- 取り組んだら放すな、殺されても放すな、目的完遂までは……。
- 周囲を引きずり回せ、引きずるのと引きずられるのとでは、永い間に天地のひらきができる。
- 計画を持て、長期の計画を持っていれば、忍耐と工夫と、そして正しい努力と希望が生まれる。
- 自信を持て、自信がないから君の仕事には、迫力も粘りも、そして厚味すらがない。
- 頭は常に全回転、八方に気を配って、一分の隙もあってはならぬ、サービスとはそのようなものだ。
- 摩擦を怖れるな、摩擦は進歩の母、積極の肥料だ、でないと君は卑屈未練になる。
電通では、社風として、この「鬼十則」が色濃く残っていると聞きます。電通といえば、先般、女性新入社員の過労死が起こりましたが、この「鬼十則」の社風とは無関係ではないでしょう。
私は経営者ですので、経営者が自らを律する言葉としては「鬼十則」は興味深く感じます(5点目、10点目は私自身の考えとは異なりますが・・・)。
昭和の時代なら「鬼十則」を“錦の御旗”に社員を叱咤激励するやり方は当たり前だったのかもしれません。しかし、経営者自身の啓発の言葉ならいざ知らず、現代の会社と社員の関係の中で「鬼十則」を社風として社員を律していくことは、時代錯誤と言ってよいと思います。
現代においては、会社と社員は運命共同体ではありません。会社と社員は一方的な関係でもありません。経営のあり方としては、社風や社訓の名の下に、社員の行動を強制するのではなく、個々人の長所や個性を生かしながらイキイキと働く環境を整え、会社と社員の双方がWIN-WINの関係になれるようにするべきではないでしょうか。
あなたの会社には“電通「鬼十則」”のような社訓はありませんか?
大企業であろうが、中小企業であろうが、“電通「鬼十則」”のような会社では、これからの日本で存在していけません。